A社は米国シリコンバレーの暗号系ソフトウェア開発のスタートアップで、大手クレジットカード会社のシステムアナリストであったW氏が1996年に創業。創業と同時にVisaやMastercardが提唱した、SET (Secure Electronic Transaction)対応の電子決済ソフトウェアを開発しました。スタートアップ企業ではありましたが、電子決済ソフトウェアのマーケットにおいて、他社製品と互換性のある安全で安価なソリューションが他にあまりなかったことから、W氏は、インターネット商取引の社会実験が各所で始まりつつあった日本市場に早い段階から進出することを決意しました。
A社は日本で数々のSET実証実験に参加しましたが、当時はまだ「なりすまし」や「詐欺」などのネット犯罪もなく、A社がネットにおける取引電文の安全性を訴えても殆どが門前払いで、大手の電話会社や信販会社でさえ、買い物客のクレジットカード番号などの重要な情報をファイアウォールさえないサーバ上にパスワードロックもせずに置きっぱなしで、それらを暗号化せずに、専用線も使わず平文で送信していました。「ネットに悪い人がいるはずがない」時代だったのです。
そのため、A社にトランザクションのやり取りが面倒で時間のかかるSETの日本市場における放棄をご提案し、買い物客のブラウザとイーコマース・サービス企業の決済サーバの間をSSL (Secure Socket Layer)で、その先、クレジットカード会社との間を専用線またはVPN (Virtual Private Network)とで接続するモデルに商品設計させていただきました。これによりA社は無名の海外ベンチャーながら日本市場の30%ほどを獲得することができ、一部はA社が日本市場から撤退した後も使われているほどなのです。
B社は米国サンディエゴ市にあった倒産寸前のソフトウェア・ハウスで、倒産を回避するために特許を含めて優良部門の身売りを決めたばかりで、次に何をするかのプランさえない会社でした。資産はプログラマ数名とわずかな現金だけで、そのままでは3か月もすれば今度こそ倒産して全員解雇した上で事務所をたたまなければならないほどの状況に陥っていました。
一方、国内の起業家らから、音楽ダウンロードシステムの開発パートナーの策定依頼を受けていた弊社はこの件をB社に提案。最終的にJVで進めることに合意し、エンジェル投資家にマッチングして、約10億円の創業資金の獲得をアレンジさせていただきました。同社は最終的に日本市場からは撤退しましたが、現在では大手通信機器メーカーへのM&Aが成功し今日に至っています。
C社はイスラエル発祥のソフトハウスで、いくつかのソリューションで成功し、米国に進出したばかりでしたが、そのうちの一つのユニークなソフトウェアを日本にローンチしたがっておりました。というのも、米国進出を支援したベンチャー・キャピタルとの約束で、いくつかの商品を日本向けに開発する約束になっていたからです。
弊社はC社に市場調査を依頼され、その過程でいくつかの商社やSIにマッチングをかけ、調査報告とともにC社の在日パートナーを紹介し、アライアンスプログラムを立ち上げました。その後C社は本国で大手ソフトウェア企業の買収を受けましたが、その狙いの一つは日本における成功であったと言われています。
現在、インバウンドもアウトバウンドも等しくお引き受けしています。インバウンドはフード・エンターテイメントなどのサービス系、アウトバウンドはIT、ハイテク・アグリ、ロボティクスなどハイテク系にフォーカスしております。